1. 高齢者を狙う詐欺の現状
1.1 詐欺被害の増加傾向
近年、高齢者をターゲットにした詐欺被害が増加しています。警察庁のデータによると、2022年には振り込め詐欺を含む特殊詐欺の被害額は約360億円と報告されており、その多くが高齢者を対象としています。
詐欺の種類
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被害件数(2022年)
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被害額(億円)
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振り込め詐欺
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13,000件
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180億円
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架空請求詐欺
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6,000件
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90億円
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ネット詐欺
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4,500件
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70億円
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その他特殊詐欺
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2,500件
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20億円
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データ出典: 警察庁「令和4年特殊詐欺の発生状況」
1.2 高齢者が狙われる理由
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孤独感の悪用:一人暮らしの高齢者は、詐欺師にとって「声をかけやすい」ターゲットとなりやすい。
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家族や友人への信頼感:家族や警察を装う詐欺が多く、高齢者が騙されやすい。
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デジタルリテラシーの不足:インターネットやスマートフォンを十分に活用できない高齢者が、ネット詐欺やフィッシングサイトに騙されるケースが増加。
2. 主な詐欺の手口と見分け方
2.1 電話詐欺(振り込め詐欺)
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手口: 詐欺師が家族や親族を装い、「事故に遭った」「借金を返済しなければならない」などの理由で現金を振り込むよう迫る。
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見分け方:
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知り合いを名乗っても、声が明らかに異なる場合がある。
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緊急性を強調し、冷静に考える時間を与えない。
2.2 偽警察・偽銀行詐欺
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手口: 詐欺師が警察官や銀行職員を装い、「銀行口座が不正利用されている」「キャッシュカードを交換する必要がある」などと言って個人情報を引き出す。
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見分け方:
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警察や銀行が電話でキャッシュカードの暗証番号を尋ねることはない。
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個人情報を急に求めてくる場合は詐欺の可能性が高い。
2.3 ネット詐欺
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手口: フィッシングサイトや偽のメールを通じて、個人情報や金銭を盗む。
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見分け方:
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メールやSMSに記載されたリンクを安易にクリックしない。
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URLが公式サイトと似ているが微妙に異なる場合が多い。
2.4 身分証詐欺
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手口: 詐欺師が高齢者の身分証情報を盗み、クレジットカードやローンを不正利用する。
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見分け方:
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見知らぬ相手に身分証のコピーや写真を送らない。
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公共料金の請求書などを慎重に管理する。
3. 高齢者詐欺防止のための具体的対策
3.1 電話詐欺対策
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留守番電話機能を活用: 知らない番号からの電話には出ず、留守番電話にメッセージを残してもらう。
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家族との合言葉を設定: 緊急時には合言葉を使って本人確認を行う。
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怪しい電話には即対応しない: 電話を一度切り、家族に確認する時間を作る。
3.2 振り込め詐欺防止
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即時振り込みを避ける: 振り込む前に必ず家族や友人に相談する。
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銀行職員と相談: 銀行窓口で大金を振り込む際、職員に相談することで詐欺を防げるケースが多い。
3.3 ネット詐欺予防
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セキュリティソフトの導入: スマートフォンやパソコンに信頼できるセキュリティソフトをインストールする。
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公式サイトを確認: 金融機関や通販サイトのURLを直接ブラウザに入力してアクセスする。
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パスワード管理: パスワードを定期的に変更し、同じものを複数のサイトで使わない。
3.4 偽警察・偽銀行詐欺対策
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警察署や銀行に直接連絡: 電話での依頼が疑わしい場合、直接機関に問い合わせる。
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暗証番号を共有しない: どんな理由があっても暗証番号を他人に教えない。
4. 詐欺被害に遭った場合の相談先
詐欺被害に遭った場合、速やかに適切な機関へ相談することが重要です。被害を最小限に抑え、再発を防ぐためにも、以下の相談先を活用しましょう。
4.1 警察への相談
詐欺に気づいたら、すぐに最寄りの警察署に相談し、状況を説明しましょう。早期の通報が被害回復や二次被害の防止につながります。
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警察相談専用電話(全国共通):#9110 → 被害に遭ったかどうか不明な場合や、今後の対策を知りたいときに利用できます。
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緊急の場合:110 → 明らかに詐欺の被害に遭った場合や、今まさに犯罪が進行している場合には、すぐに110番に通報しましょう。
また、各都道府県警察には**「特殊詐欺対策専用窓口」**が設置されていることが多いため、電話やオンラインで最新の情報を確認するのも有効です。
4.2 消費生活センター
消費者庁の消費生活センターでは、詐欺や悪質商法に関する無料相談を受け付けています。特に、ネット詐欺や高齢者を狙った訪問販売、電話勧誘による被害などについてアドバイスを提供しています。
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全国消費生活相談窓口(消費者ホットライン):188 → お住まいの地域の消費生活センターにつながり、専門の相談員が対応してくれます。
また、各自治体の消費生活センターでも独自の対策を行っている場合があるため、自治体の公式ホームページを確認するのもおすすめです。
4.3 家族や地域社会との連携
高齢者が詐欺の被害を未然に防ぐためには、家族や地域社会との密なコミュニケーションが不可欠です。詐欺の手口は年々巧妙化しており、詐欺グループは心理的な隙をついてくるため、一人で判断せず、周囲と情報を共有することが大切です。
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怪しい電話やメールを受けたら、すぐに家族や信頼できる知人に相談する
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近所の自治会や地域包括支援センターと連携し、地域ぐるみで高齢者を守る仕組みを作る
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詐欺の事例や対策について、家族と定期的に話し合う機会を設ける
詐欺に遭った場合、「恥ずかしい」「家族に迷惑をかけたくない」と思ってしまう高齢者も少なくありません。しかし、早めの相談が被害回復の第一歩となります。家族や周囲が支え合いながら、詐欺被害の防止と対策に努めることが重要です。
5. 高齢者が詐欺に遭わないための心構え
1. 疑うことを恐れない
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「急いで振り込んで!」という言葉には冷静に対応し、疑問を持つことが大切です。
2. 家族や友人との情報共有
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詐欺の事例や手口について家族と話し合い、情報を共有しましょう。
3. 最新の詐欺手口を知る
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地域のセミナーや警察主催の講座に参加し、詐欺の最新手法を学びましょう。
高齢者をターゲットとする詐欺は依然として深刻な社会問題ですが、正しい知識と対策を持つことで被害を未然に防ぐことができます。本記事で紹介した詐欺の見分け方や具体的な防止策を活用し、家族や地域社会と協力して安全な暮らしを実現しましょう。